日本の里山でのヤギ畜産の発展の切り札は給食
久しい間、日本の山里(人間界)と野生動物(自然界)とを区切る役割も兼ねるヤギ畜産の発展をどうしたら良いのか、を考え続けています。
なぜ日本の里山が荒廃してしまい、猿、鹿、猪などの野生動物に荒らされてしまうようになってしまった主な理由は、安価な輸入材木の増加、燃料としての炭の需要の減少により林業が衰退し、山間の小規模水田での採算も難しくなってしまったからです。
代わって各地で和牛や乳牛の飼育が奨励されていますが、コストと手間がかかる上に、急峻な斜面が多い里山では牛に適した広大な牧草地は望めません。それなら急峻な斜面を好み、雑草まで食いつくしてくれるヤギの畜産はどうだろうかと思い浮かびました。
(ヤギ乳の効用とヤギ肉)
ヤギ乳は人間の母乳に最も近く、母乳替わりの効用がまず挙げられます。フランスなどではヤギチーズは街中のスーパーなどで普通に販売されている日常的な食品で、生チーズをそのまま食べるだけでなく、焼きトーストやサラダ用にも好まれ、熟成した固いチーズは酒の肴として美味です、
食用肉としては、生後一歳頃までの子ヤギはフランスだけでなく日本の高級レストラン・ホテルなどで重宝されています。一歳以上に生育した雄ヤギは、ニオイがきつすぎる理由で、沖縄・奄美省都を除く日本では敬遠されていますが、東南アジアなどやアフリカ地域では普通に食べられていますし、インドではヤギ肉カレーに人気があります。
(なぜ日本ではヤギ乳や肉が敬遠されているのか)
日本列島でのヤギ飼育の状況を調べてみると、沖縄・奄美諸島だけでなく。長野県伊那地方でもヤギ乳とヤギ肉の消費が根づいています。さらに愛知県の名城大学農学部を主体に「全国山羊ネットワーク」も活動しており、ヤギ畜産の下地はできあがっています。
それでは、なぜヤギ畜産は発展して行かないのでしょうか。理由は単純明白で。「ヤギは可愛く、雑草も平らげてくれるが、臭くて貧乏百姓の家畜」といった、誤った固定観念が国民の間に染みつき、常識化してしまっているからです。
(ヤギ畜産の起爆剤は幼稚園・小学校向けの給食にある)
どうしたら。こうした誤った意識を劇的に覆すことが出来るだろうか。ヤギ乳を使ったチーズ、トースト、クレープ、フォンデユ、プディング、グラタン、菓子類、ヤギ肉カレーなどなど、あれこれ思いつくうちに、起爆剤は幼児や小学生向けの給食で好んで食べる「何か」を開発することだ、と思いつきました。子供が母親や父兄に「おいしいから食べたい」と欲しがると、親たちの間で評判となり、ブームに乗りやすい国民性なので、ヤギに対するイメージが変わります。ヤギ乳は牛乳に較べて割高になりますが、生産量が増えれば、その差額は縮まっていきます。
進むべき方向が定まったら適応能力が高い日本人ですから、その「何か」を思いつく方がきっと出現してくれるでしょう。
(ヤギと牛の飼育を主体にした里山総合パーク)
ヤギの飼育場を中心に、山の斜面や休耕田を活用した放牧場、ヤギと牛の飼料ともなる葛(くず)林散歩道、カフェ・レストラン、乳牛と肉牛の飼育農家、食肉処理場、乳製品と食肉の加工施設等が点在し、小中学生などの遠足や家族連れや団体の見学コースを網羅した里山街作りが実現したら、との思いをはせています。
主体の運営は市町村の自治体が運営する会社組織か第三セクターとする。休日も交代制で毎週取れるようにしたら、若者を中心とした就職希望が増え、子供たちも誕生し、小中学の就学生が増えます。高齢の退職者もアルバイトの臨時要員にするようにしたら、退職後の住まいとして移住して来る人も増え、寂れた里山も老若男女で賑わうようになります。
夢のような話と思われるでしょうが、農林水産省に加えて環境省が本腰を入れて、九州、四国、中国、近畿などの地方ごとにモデル地区を設定し、成功例を積み上げていって欲しいものです。半世紀、一世紀後の日本列島の山里では山の斜面でヤギがのどかについばんでいる風景が日常の風物になっていて欲しいものです。